やさしい日本語

やさしい日本語って外国人だけのもの?

(再掲:以前のブログより)
 
おはようございます!
 
11月になりましたね。
いよいよ今年も残すところあとわずかです。
私もそろそろ大掃除や年賀状の準備に取りかからなくてはいけません。
忙しくなりそうです〜(^^;)
 
やさしい日本語が取り上げられたことをみなさんはご存知でしょうか?
 
 
このバッジをつけた店員さんが印象的でした^^
やさしい日本語がいろんなメディアで紹介され、
注目されていくのはとても嬉しいことです!
 
先ほどお話ししたNHKの特集の中で、
「落下物に備えて頭部を保護してください」
 
という注意を促す言葉が出てきたんですが、
 
多くの外国人留学生はその言葉を聞いても頭を守るという行動をとれませんでした。
この言葉は、果たして「防災」という観点から見た時に適切な言葉だったのでしょうか?
 
答えはもちろんNOですよね。
 
危険が迫っている時に身を守る行動を促せないのであれば、
「落下物に備えて頭部を保護してください」という言葉は防災には不適切です。
 
もっと伝わる言葉で危険であることを知らせる必要があります。
そこで「やさしい日本語」の出番なんです。
 
VTRではやさしい日本語を使うと頭を守るための帽子、
ヘルメットをかぶるという行動が取れたということが紹介されていました。
 
やさしい日本語にすることで、外国人に伝わりやすくなるんですね。
やさしい日本語は外国人とのコミュニケーションに使える言葉ですが、
これは外国人のためだけのものなのでしょうか?
 
「落下物に備えて頭部を保護してください」は、日本人の子供にとっても難しいようです。
私にはもうすぐ5歳になる子供がいますので、ちょっと実験してみました。
 
私「Aちゃん、落下物に備えて頭部を保護してください。」
子「なに?どうすればいいの?」
 
と言うだけで何も行動しませんでした。
しかし、やさしい日本語でお願いするとどうでしょう?
 
私「Aちゃん、危ないので帽子をかぶってください。」
子「え?地震なの?」
 
私の言葉を聞いて、頭を守るように両手を頭に持ってきました。
 
同じ意味の言葉ですが、これほどまでに伝わりやすさが違うのです。
 
保育園・幼稚園の先生やママたちはもしかすると
自然にやさしい日本語を話している先生やママもいるかもしれませんね。
 
子供のどうして?なぜ?に毎日答えていくうちに、
子供がわかるであろう言葉を選んでいると思いますから。
 
実はやさしい日本語も要領は同じなんです。
外国人にとってわかりやすい言葉を選んで使うんです。
 
ただ「外国人にとってわかりやすい」言葉って何なのか?
これを知らない人が多いのです。
 
「外国人にとってわかりやすい」言葉がなんなのかを知っているのが
外国人が日本語を学ぶ過程を知っている日本語教師なのです。
 
一つ間違えないでいただきたいことは、
幼児向けの言葉とやさしい日本語はイコールではないということです。
 
やさしい日本語は子供にも外国人にも分かりやすい言葉ですが、
幼児向けの言葉は子供にわかっても外国人にわかるとは限らない言葉です。
 
例えば、
 
「おててアワアワしようね」
 
これは、子供には手を洗うということがわかりやすいかもしれませんが、
外国人にとっては難しい言葉です。
 
手を洗って欲しい場合は、
 
「手を洗います。お願いします。」
「手を洗ってください。」
 
こう話せば日本語を学ぶ外国人には伝わるでしょう。
もちろん子供たちにとってもわかりやすい言葉です。
 
言いながら手を洗うジェスチャーも加えると視覚的にも情報を伝えられますから、
より伝わりやすくなりますね。
 
また、幼児向けの言葉は子供と話す言葉なので、
幼稚な言葉を使うこともあると思います。
 
それをそのまま外国人に使うのは、もちろんよくありません。
日本人だって他人から幼稚な言葉で話しかけられたらいい気分はしませんよね?
それは外国人も同じです。
 
やさしい日本語はあくまで難しい日本語が理解できない人のための言葉なので、
日本人が日常生活の言葉をやさしい日本語にする必要はないですし、
難しい言葉を理解できる力も必要だと思っています。
 
”今”目の前で日本語がわからなくて困っている人のためにできること、
それが「やさしい日本語」を使うことなのです。
 
やさしい日本語は、子供にも大人にも高齢者にも外国人にもやさしい言葉であり、
一つの思いやりの形だと私は思っています。
 
この思いやりの言葉を自由に使える人が増え、
コミュニケーションがスムーズになっていくことを私は心から願っています。